Interview

コンシューマゲームの職人、
ノウハウを言語化してモバイルに落とし込む、
新しい面白さに挑戦するDeNA流ゲームディレクター

山口 誠 Makoto Yamaguchi

ゲーム・エンターテインメント事業本部 / ゲーム事業部Develop統括部企画部

2013年、コンシューマゲーム会社からDeNAに中途入社。主に新規アプリゲームのプロデューサー、ディレクターを担当。現在は、『世紀末デイズ』のプロデューサーを務める。

  • 手を動かし、間違えて覚える超実践的な現場でゲーム作りの勘所を学ぶ

    子どものころから「ヒーローみたいな存在でありたい」とずっと思っていました。大学で法学部に進んだのも、法律は人の人生を救うものだという漠然としたイメージがあったからです。でも、法律を学べば学ぶほど、法律家はあくまで法律を解釈して使う人でしかなく、本質的に何かを変えられるわけではないと感じたんです。じゃあどうやって人生に希望を与えるような生き方ができるかと考えた時、出てきた選択肢がエンターテインメントでした。その中で、幼い頃からずっと好きで、一番語れたのがゲームだったこともあり、自分が好きなタイトルをたくさん作っていたコンシューマゲーム会社にプランナーとして入社しました。

    最初に配属されたチームは超実践主義で「とりあえずやってみろ」「間違えて覚えろ」という世界観でした。今でもよく覚えているのが、仕様の書き方なんて一切教えてもらっていないのに幕間(※)の仕様を任されたことです。やりたいことはあるけれど、どう仕様書に落としていいかわからない……苦肉の策で画像素材をもらい、頭の中にあるイメージを動画にして提出しました。結果、その動画でエンジニアやグラフィッカーに僕がやりたかったことがすごく伝わったという体験をしました。手探りでがむしゃらに働きながら、ゲーム作りの勘所みたいなものを徐々に体得していくといった毎日でしたね。

    (※)幕間:戦闘と戦闘の間に挟まれる、ブリーフィング画面。あらすじ紹介などが行われる。

  • 「自分がお金を払ってでもこのゲームを遊びたいと思えるか」失敗から学んだのはブレないことの大事さ

    最初の会社には5年ほど勤め、たくさんのタイトルに関わりました。中には苦い思い出もあります。新しい家庭用ゲーム機の発売に合わせたローンチタイトルにパートリーダーとして関わった時のことです。モーションセンサーを使って刀の斬撃を表現するアクションゲームの企画だったのですが、蓋を開けてみると企画のコアな面白さである、斬撃の表現が技術的なハードルによって実現できないことがわかったんです。それでもなんとか作りきろうと、企画面で試行錯誤を繰り返しましたが、僕自身「なかなか当初に狙った面白さに近づかない」という焦りをずっと感じていました。

    発売までこぎつけたものの、売り上げは振るいませんでした。当時、自分が関わったタイトルの発売日は近くの家電量販店に行き、陰から売れ行きをチェックするのが常だったのですが、半日粘ってやっと一本手に取られるような状況でしたね。面白いかどうかよりも、作りきって世に出すことが目的になってしまっていたことは今でも反省します。少なくとも、作っている自分自身が心から面白いと思えなければ、他の人に面白さが伝わるはずがないなと。近年、学生にプランニングについて講義をする機会が多いのですが「自分が本気で面白いと思うか、お金を払ってでもこのゲームを遊びたいと思えるか」を常に意識するように、としつこいぐらい伝えるのは僕自身の反省があるからなんです。

  • 遊び方が生まれていくモバイルゲーム領域で新しい面白さを「狙って」作りたい

    DeNAには2013年に転職しました。前の会社でモバイルの仕事をするようになり、「モバイルで最前線を走っている会社で勝ち方を知りたい」と思ったのが理由です。リリース後のタイトルで運用を学び、次にアサインされたのは、会社からの期待も大きなビックタイトルの開発ディレクターでした。プロジェクトの途中で僕が加わった形でしたが、当時の現場は混乱を極めていたことを覚えています。メンバー皆のやりたいことがバラバラで、うまくまとまらず、迷走しているような状況。僕の最初の仕事は、そもそもどんなゲームを作りたいのかを企画書にまとめ、メンバーに共通認識を持ってもらうことでした。

    率直にいうと、転職当時のDeNAに思ったのは「コンシューマー的なゲームづくりの文脈が根付いていない」ということでした。モバイルがブラウザゲームからアプリゲームにシフトするにあたり、ゲームのコンテンツはよりリッチなものが求められるようになりました。従来のリリースしてからプレイヤーの反応を見て調整していくかたちから、目指す面白さを定義し、作りきってリリースする、そんなコンシューマー的なゲーム作りに対応できる人材が、まだ当時のDeNAには少なかったんです。

    一方で、DeNAの人たちがすごいなと思ったのは、キャッチアップの速さです。「ゲームの面白さとは」「ゲーム作りとは」をきちんと分解・言語化し、すごいスピードでDeNA流に再構築していく。コンシューマ時代、僕はよく周囲に「ゲームの面白さを科学的に作れないのか」と投げかけていたのですが、だいたい「面白いなんて水ものだから無理無理」という反応でした。でも、DeNAの人たちとなら「面白さを狙って作ること」ができているかもしれないと思っています。先述のタイトルが多くの人に愛されているタイトルに成長できたのも、コンシューマーのものづくりのノウハウをただ取り入れるのではなく、僕たちなりの「面白さ」を追及できたからだと思っています。

    モバイルは今、ブラウザゲームでもコンシューマゲームでもない、新しい面白さや遊び方がどんどん生まれていく非常に刺激的なプラットフォームになっています。僕の頭の中にも、カタチにしたい面白さがどんどん出てきています。だから、僕のゲーム作りに終わりは見えないんです。一生ゲームを作っていきたい、これが僕のブレない想いです。

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    ゲーム・エンターテインメント事業本部
    ゲーム事業部Develop統括部企画部
    第十二グループ